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4.引き込まれたテリトリー 9

新藤は腰を打ちつけながらさらに続けた。 「あの女は僕目当てで、振ったくせに惜しくなっただけだ。千秋の良さもわからないやつに千秋はもったいなさ過ぎる。だから……僕にしとけよ」 そういうと、新藤はいっそう余裕のない切ない目をして俺に訴えかけるのだ。 「僕がずっといるから。好きなんだ、千秋。だから僕にしなよ…───」 あの新藤が、俺にこんな切ない目を向けるなんて……。 きっと願えば何でも手に入るような、そんな新藤がこんなに言葉を詰まらせているなんて。 そんな目を俺がさせているんだと思うと、体が芯から震えた。 でも、同時にまたムカついてきた。 こいつはズカズカと人のテリトリーに入ってきては大きな顔をしているくせに。何もわかってない。 俺は新藤の頭の後ろに手を回し強引に引き寄せる。 「新藤……ちょっと、だまれ…っ」 俺の行動にきょとんとした顔をする新藤にさらにムカついた。 今のこの状況わかって言ってんのか? と思う。 そんなこと、どうでもいいだろ。 他のことなんて考えられなくなっていた俺は、新藤の首に回した手に力を込めた。 今はそれよりもどうにかしたいことがあるんだ。 もう、何とかして欲しい。辛くて堪らない。 「もう、やばいんだ……はや、く…なんとか……しろ…っ」 そう言って引き寄せてキスをすると、一瞬驚いたような顔をした新藤だったがキスをしたまま激しく腰を動かし始める。 「はっ、あ…あぁっっ」 もう限界だった俺はすぐイキそうになった。 どうせなら新藤と一緒にイキたいとか思ってるのも、色々やばい。

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