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第5章 宙に浮いた気持ち 1

チュンチュンと鳥の鳴き声が聞こえる。 カーテンの隙間からは日が差していてちょっと眩しい。 モゾッと動こうとしたら、俺の体に何かが巻きついていて、目を擦りながらよく見るとそれは人の腕だった。 ん? ここはどこだ? これは、誰の腕? そう思って振り返ると、し、し、新藤!! そうだった……俺は新藤の家に来てたんだった。 しかも、昨晩はアンナコトやコンナコト……。 つか、こいつは一晩中俺のことを抱きしめたまま寝てたのか? すると、俺が動いたからか新藤も起きたみたいでゆっくりと目を開けると、にっこり微笑んだ。 「おはよう」 「…………」 な、な、なんだよ! こいつはなんで起きぬけであんなに爽やかなんだよ! 俺はとっさに黙り込んでしまったが、新藤はクスッと笑うと起き上がって散らばった服を集め、クローゼットからTシャツを出して俺に投げた。 「それ着ていいよ」 「おう……」 そして新藤もTシャツを着てズボンを履くと部屋を出て行った。

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