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6.俺だけがいない 2
次の日、行きたくないが学校に行かねばならない。
なんで、同じクラスなんだろうな……。
気まず過ぎるだろ。
「柏木~おはよ~」
内川が背中を叩きながら挨拶してくる。
「おはよう」
「どうした? 寝不足?」
「いや、ちょっと……」
「俺も寝不足なんだよね~。彼女とお泊りしちゃってさぁ」
お泊りね……。ふーん。
内川と彼女の話はほとんど耳に入らなかった。
俺はこの袋を新藤に渡さねばならないわけで、考えるだけで体力使う。
ため息をつきながら教室に行くと、もう新藤は来ていて自分の席に座っていた。
これ、返さねぇと……。
そう思って、自分の席に鞄を置くと新藤の席に向かう。
「し、新藤……」
でも、新藤から返事はなかった。
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