66 / 622
6.俺だけがいない 9
「何かあったのか?」
「は? 何が?」
帰ろうとしているときに、内川にそんなことを言われて何の話かと思った。
「だから、なんか変だろ。ストレスか?」
「……まぁ、そんなところ」
内川にとっては不可解な行動でしかないんだろう。
変な心配させて悪いなって思っていた時。
「あれ? あれってマリエちゃんじゃね?」
内川が指差した先にはマリエちゃんがいた。
すごく嬉しそうな顔をして靴箱にもたれかかっている。
すると、マリエちゃんの顔が笑顔に変わった。
すっと動いた視線の先には……新藤がいた。
「あれ、新藤じゃん。一緒に帰るのかな? あ、腰に手を回してる」
内川が説明してくれなくても見えてるって……。
新藤はマリエちゃんの腰に手を回して歩いていく。
すると帰り始めていた女子たちがザワついているのもわかった。
つか、手の回し方がエロいんだよ。
ともだちにシェアしよう!