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6.俺だけがいない 10

俺は一気に不機嫌になる。 それは内川にも伝わったようで、オロオロしているのがわかった。 「ただ帰るだけかもしれないじゃん。この間、マリエちゃんと出かけたんだろ? お前だってチャンスあるって」 内川はフォローしてるつもりなんだろうけど、フォローになってねぇし。 「別に、関係ねぇよ」 「お、おい……」 関係ないと言ったものの……やっぱり気になる。 新藤のやつ、マリエちゃんのことなんて悪くしか言ってなかったじゃねぇかよ。 それなのにどうして……どうして。 やっぱり自分が好かれてるから? マリエちゃん可愛いもんな。 隠れ巨乳だし。 でも、あいつって俺のことが好きだったんじゃ……。 そうだよ。一晩じゅう、あんな恥ずかしいことばっかり言ってたくせに。 って、俺も何を思い出してんだ‼︎ でも、胸がモヤモヤすると同時に、 もしかして…───、もうキライになった? そんなことを一瞬でも思った自分に吐き気すらした。

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