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6.俺だけがいない 11
つーか俺! 何考えてんだ俺!
男は女が好きに決まってんじゃねぇか。
なんだよ!
今のじゃまるで、俺のこと好きじゃなくなった新藤にがっかりしてるみたいじゃねぇか!?
俺、キモッ! 自分なのにキモイ。
なんなんだよ! マジで、ムカツクし。
クソー!! 全部、新藤のせいだ。
この怒りを本人にぶつけないと気が済みそうにない。
イライラが最高潮に達した瞬間、俺は何も考えなしに走り出していた。
「おい、マリエちゃんのことを取り返しにいくつもりかよ」
内川の言葉なんて耳に入っていない。
ただ、今は新藤がムカついてイライラして頭に血が上っていたんだ。
全部、新藤が悪い。俺を無視する新藤が悪いんだから!
「おい! 新藤っ!!」
それなのに、また新藤は俺を無視する。
振り返ったのはマリエちゃんだけだった。
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