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第8章 ひとりじめしたい 1
──甘い時間が終わると、新藤は俺のことをぎゅーっと強く抱きしめた。
その顔はなんだか凄く嬉しそうで、くすぐったい変な気分になってしまう。
そして抱きしめながら耳元で優しく囁くように言うんだ。
「……今日、泊まっていけば?」
「そ、そんな」
「僕とは一緒にいたくない?」
ただですら恥ずかしくて死にそうなのに、急に新藤が寂しそうな顔なんてするから。
「そんなわけあるか!」
なんて思わず叫んでしまって余計に顔が赤くなる。
そして赤くなった顔を隠すためにベッドに顔を埋めた。
「やっぱり、千秋は可愛いな」
「だから、可愛いとか言うんじゃねぇよ!」
顔を埋めながら、悪態をつき叫ぶように言うと、新藤はクスクス笑っている。
なんだ? このほのぼのとした雰囲気は!?
なんて枕に顔を埋めていると、ふとさっきまでのことが思い出されて。
……つか、さっきまで俺はめちゃくちゃ恥ずかしいことを連呼していなかっただろうか。
いや、してたよね。新藤のこと……名前で呼んだりしちゃったしさ……。
どうしよう、まともに新藤の顔が見れない。
俺がそうしていると、後ろから覆いかぶさってきた新藤が耳元で言った。
「やっぱり、帰したくないから泊まって。美味しいご飯も作ってあげる」
ご飯と聞いて耳がピクッと動くように反応したのがばれてしまったのか、新藤がクスクスと笑いながら聞いてきた。
「何が食べたい?」
「…………なんでもいい」
「好きなの言えばいいのに」
そう言いながら優しく髪をすくから、少しだけ顔を上げる。
「……新藤が作るのならなんでもいい」
そういうと、新藤はバカみたいに嬉しそうな顔をしたんだ。
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