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8.ひとりじめしたい 3
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次の日。
目を覚ますと、時計は7時前でもうすぐ起きる時間だった。
そして目の前には新藤の寝顔が。
また俺は新藤に抱かれたまま寝ているし。
昨日も思ったけど、新藤の寝顔はとても綺麗だ。
意外と睫毛が長いし、スッと通った鼻筋とか、薄めの唇とかも。
女の子が放っておかないのに、俺が好きだとか……まだ信じられねぇし。
俺はコイツと、付き合ってる……んだよな?
ん? 付き合うって何だ?
そもそも付き合うって何!?
今まで誰とも付き合ったことがない俺は、付き合うのつの字も知らない。
おい、待て待て待て。
付き合うってどこからなんだ?
お互い好きだったら付き合ってんの?
いや、付き合いましょう的な何かがあってからじゃないと付き合うって言わないのか?
じゃあ、俺たちは……まだ、付き合ってない?
うーん……この辺、超初心者の俺には難しすぎるんだが。
そんなことを考えながら新藤の寝顔を見ていると余計に恥ずかしくていたたまれなくなったので、新藤が起きる前に帰ろうと、ベッドから出ようとしたとき新藤に腕を掴まれた。
「何、人の顔を覗き込んでたの?」
「起きてたのか!?」
「昨日みたいにまたキスしてくれるかと思って待ってたんだけどね」
「昨日みたいにって…………」
昨日みたいに?
そ、それって、まさかあの時も新藤は起きていたっていうのか?
「お、お、おい! まさか、昨日も起きてたのか!? なんで、寝たふりなんか」
「横になってたら千秋が部屋に入ってきたから、そのままなんとなく」
笑いながら言うこいつはたちが悪い。
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