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8.ひとりじめしたい 6
俺が教室に入ると、内川が心配そうな顔をして近寄ってきた。
「大丈夫だったか?」
「何が?」
「何がじゃねぇよ。新藤に連れて行かれただろ? 何かまた言われたのか」
「いや、別に……」
そうしていると、俺たちの会話が聞こえたのだろう。
新藤が微笑みながら近付いてくる。ちょっと不気味だ。
「内川くん、君は勘違いしているようだけど僕と千秋は仲がいいんだよ?」
「え!? 柏木と新藤が仲いいって……つか、いつの間に名前で!?」
「だから、仲いいって言ったろ? な、千秋」
やばい、新藤が物凄く笑顔だ。
なんか笑顔過ぎて気持ちが悪い。
多分、これで否定なんかしたら後でクソめんどくさいことになる気がしたので俺は素直に頷いた。
「う、うん」
「まじかよ! どんな経緯で? あんなに仲悪いと思ってたのに」
「誤解だったみたいで」
なんて言ったらいいのかわからなくてチラッと新藤のことを見ると、新藤は笑顔のまま内川を手招きして何やら話をしている。
その会話は聞こえなかったけど、話を終えた内川は笑顔で俺にこう言った。
「新藤って意外といいやつだな」
なんか言いくるめられてるし……。
何を言ったらあぁなんだよ。なんか怖ぇよ。
ま、いっか。もう深く考えるのはやめよう。
考えれば考えるだけ頭がごちゃごちゃになるし、何より新藤の場合考えても無駄な気がする。
いろいろあった次の日なのでどうなることやらとは思ったが、意外と普通に1日は過ぎて行ったように思えた。
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