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8.ひとりじめしたい 7

──放課後、俺は内川と一緒に下駄箱に向かう。 そこで、同じく下駄箱で靴を履き替えているマリエちゃんの姿が目に入った。 自分のことばっかりで、マリエちゃんのことを忘れていたけど。 新藤はどうするつもりなのか。 まさか、もう一緒に帰ったりしないよな。 でも、嫉妬するのが見たいとか言ってたし……また一緒に帰るつもりなんじゃ。 そんなことを考えていると、マリエちゃんが不意にこっちを向いて。 次の瞬間。なぜか……顔を真っ青にして走り去っていく。 あれ? どうして? しかも、なんか怯えてなかったか? 気のせい? 不思議に思ったのは内川も同じだったらしく。 「どうしたんだろう。柏木を見た途端に顔面蒼白になっていたような」 「……内川もそう思うか?」 「あぁ。もうお前には悪いけど、マリエちゃんは見込みねぇと思うよ」 「……うーん」 ぶっちゃけ、マリエちゃんはどうでも良くなっていた俺としてはそこは別に気にはしてないんだけど、ただ新藤がどうか。今はそっちの方が問題だ。 と、考えてた刹那。 「あんな女はやめたほうがいい」 「うわ、なんだよ! って、新藤かよ!」 いきなり後ろから喋りかけられて内川が驚いた声を上げた。 「でも、あんな女って、お前昨日まで一緒に帰ってたじゃん」 内川の疑問はもっともだと思う。 俺も同じ様なことを昨日聞いたし。 それに対して新藤はまた爽やかな顔で答えていた。 「あれは頼まれたから仕方なくね。でも、もう断ったし」 「頼まれた?」 「そうなんだ、僕も困ったんだけど仕方なくね。本当は嫌だったけど……。千秋好きだったんだろ?」 「……べ、別に」 いきなり話を振られて驚くが、お前が言うなっての! しかもなんか、しおらしくしているのでそれも不気味なのだけど、ひとつ疑問が残る。 「でも、さっきなんでマリエちゃんはあんな顔面蒼白で走っていってしまったんだろう?」 「それはね……」 すると新藤は、爽やか過ぎる笑顔とは裏腹に、冷たくピリッと痛いような空気をかもし出しながら言ったんだ。 「もう近づかないでね。って言ったからだと思うよ」 きっと俺と内川は同じことを考えただろう。 絶対、それだけじゃないはずだ……。

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