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10.溺れれば夢中 7

教室まで二人で戻っている時に、思い切って新藤に聞いてみた。 「なぁ、新藤。今まで何人と付き合った?」 「100人」 「真面目に答えろって」 すると、新藤は僅かに決まりが悪そうな顔をした気がした。 「付き合うって基準にもよるけど……気になるの?」 「べ、別に。ちょっと聞いてみようかと思っただけだよ。お前モテるし女に困ったことないんだろ?」 気になっていない振りしては見るが、どうしても気になってしまう。 だって、くどいかもしれないけど俺は男だし、何で新藤が俺のことが良いって言ってくれるのかも未だによくわかんねぇし。 俺は新藤しか知らないけど、新藤はきっと女もたくさん知っているわけで、今はそうじゃなくてもいつどうなるかなんてわからないんだ。 何も言わない新藤に本当はあまり聞きたくはないのだけど、つい聞いてしまう。 気にしてるなんて思われたくないのに、不安な気持ちもあるからだろうか。 詮索してるみたいで嫌なのに。 「何人くらいヤったんだ?」 「言ったら気まずくなるでしょ?」 「それは多いってことか? やっぱりそうか……」 「さすがに千秋よりはね」 でも、やっぱり聞かなきゃよかったって思うわけだ。 場の雰囲気を取り繕うように、にっこりと笑う新藤を見ているとあまのじゃくな俺はムカついてくる。 「どうせ俺は童貞ですよ」 俺はそのまま新藤に背を向けて歩いていく。 つか、どうしたって気になってしまうだろ? 確かに前ほど気にはならなくなったけど、男はやっぱりヤってこそ一人前って言うか……。 そりゃ、今のままでも悪くないって思ってはいるけど、挿れてみたいじゃん。男として。 これ以上このままだったら……。 俺の体、入れられないと満足できない体とかになってしまわないだろうか。 ………………。 …………これは、絶対にヤバイ。 俺は童貞のままケツに入れられないと満足できない体なんかになってみろ。 ダメだ! 絶対にダメだ! まだ間に合うはずなんだ。間に合ううちにどうにかしないと!! でも、新藤を裏切るのは嫌だし……新藤が挿れさせてくれるとは思えないし。 新藤に頼んでみるか? 直談判? ……俺はどうしたらいいんだよ。

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