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10.溺れれば夢中 11
新藤の家に着くと、新藤はそのまま俺の手を引いて自分の部屋に向かう。
部屋に入るなり、俺をベッドに投げつけるように手を離した。
そしてすぐに、俺に馬乗りになる。
新藤の視線は冷たく、まっすぐに俺を見下ろしている。
やばい、これはめちゃくちゃ怒らせてしまっている。
新藤の顔がゆっくりと近づいてきた。
そしてゆっくりとした口調で俺に問いかける。
「僕のだってたくさん染み込ませたつもりだったけど、足りなかったかな?」
その刺さるような声色に、俺は必死にかぶりを振ったんだけど……。
新藤は俺を見下ろしたまま静かに続けた。
「じゃあ、どうして即断らなかった? 延期ってのもおかしいけど、千秋には隙が多すぎる」
「隙って何だよ。そんな間もなかった」
「千秋に隙があったからそうなったんじゃないの? それとも、自分に好意があるなら童貞捨てるチャンスとか思った?」
「うっ……」
思わず顔が引きつってしまった僅かな変化も新藤は見逃さない。
「ふーん。図星なんだ。そんなところが心配だったんだ」
そういうと、新藤は俺の髪の毛をすく。その指が耳を撫で。
そして、俺の目をじっと見ながら、そのまま頬を撫でた。
「残念だけど、君はずっと童貞のままだよ」
「なっ、なんでだよ!」
「なんでって? 君はそんなに僕から離れたいの?」
「ち、ちが……っ」
そう言いかけたところを強引に唇で塞がれる。
荒々しいキスは最初こそ戸惑ったものの、中で蠢く舌に捕まりねっとりと絡められれば、次第に俺の中心部を熱くさせた。
「ねぇ、千秋。君はこんな体で女の子と出来るのかな? 男にキスされて勃たせてるようなカラダでさ」
冷たく言い放つと、また新藤は荒々しいキスを俺に落としたんだ。
別に俺は男が好きなわけじゃねぇし、誰だって勃つわけねぇ。
お前だから……。
新藤だから勃つんだろ……。
そう新藤に伝えたい。
でも、口を塞がれている俺はもがくことしかできなかった。
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