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11.甘く溶けていく 9

でも、そんな俺がなぜ泊まりに来いと言ったかというと……。 「親は親戚の結婚式があって九州に行ってるし、双子たちは修学旅行に行ってるから……」 すると新藤が納得したような顔つきで微笑む。 「1人だと寂しいんだね?」 「ちげーよ。飯を作りに来いって言ってんだよ」 「ご飯だけなら別に泊まらなくてもいいよね?」 「うっ……」 口籠る俺を見ながら、優しく目を細めて俺の髪をすいた。 「素直に僕と一緒にいたいって言えばいいのに」 「言えるか、ボケ」 「ま、そういうとこも好きなんだけどね」 そう言いながら、少し嬉しそうにしている新藤を見てこっちの方が照れてしまう。 俺はお前みたいにストレートに何かを言ったりするのが難しいんだ。 あまのじゃくだし、照れ隠しに悪態ばかりついてしまうから、いつもの思ってる事とは逆の事ばかり言ってしまう。 今だってそうなのに。 「うるせー。もう来んな」と背を向けるとすぐさま新藤が後ろから俺のことを抱きしめて甘く耳元で囁いた。 「絶対に行くから、頑張って」 新藤の声が脳内に響くのが心地よくて、俺はどんどんおかしくなっていくんだ。 自分で言うのも何だけど新藤は俺を甘やかしすぎだと思う。 でも俺は単純だからまた集中力を取り戻してテスト勉強に向かった。 明日の放課後で、すべて終わらせてやる。

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