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11.甘く溶けていく 10
──金曜日の放課後。
今日は1日ソワソワしてしまっていた。
別に集中力が切れていたわけではない。
むしろ高まってたくらいで。
追試をパスすれば新藤がうちに来る。
そう思うとはやく終わらせてしまいたい。
先生に指定された教室に向かうとすでに3人集まっていた。
俺が入ったところで試験担当の先生もやって来て席に付けという。
どうやらこの4人が追試のメンバーらしい。
「今から問題を配るからな」
目の前に数学の問題と解答用紙が配られる。
「はじめっ」
俺は問題用紙を開いた。
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──────
───────…
追試を終えたので、新藤に居場所を聞くメッセージを送ると門の前にいると返事があったので急いで向かった。
「お疲れ、千秋。どうだった?」
「俺がパスしないわけないじゃん」
追試を終えて、無事に合格点を取った俺は有頂天だった。
そんな時、ふと新藤の持っているものが目にとまる。
新藤はなぜかスーパーの袋を持っていた。
「なんだ、それ」
「食材。待っている間に買い物してきた」
「ふーん。……そんなん買うなら一緒に行きたかったな」
ちょっと一緒に買い物とかやってみたかった。
てな事を考えながら何気なくボソッと呟いた俺だけど、一瞬にして恥ずかしいことを想像していたことに気付き慌てふためいてしまう。
「い、今の忘れろ!」
「忘れないよ」
俺が焦っていることに気がついたんだろう。
新藤はニヤリと笑いながら、「一緒に買い物はまた今度ね」と言った。
追試をパスした有頂天な自分で蒔いた種なんだけど……。
なんか、弱みを見せてしまったようで悔しくてたまらない。
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