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11.甘く溶けていく 11

居た堪れなくなって、先に歩き出すと新藤も後から付いてくる。 「僕がなんで1人で買い物してきたか聞きたい?」 「別に聞きたかねぇよ」 「じゃあ、教えてあげるね」 「だから俺は聞きたかねぇって……」 そう言いながら振り向こうとしたとき、耳元で囁かれた新藤の言葉に体がピタリと止まってしまう。 『早く千秋と2人っきりになりたかったからだよ……』 固まったままの俺をみて新藤はクスクスと笑った。 そして、一瞬にして妖艶な表情になるとそのまま囁くように続けるんだ。 「今日は少しの時間だってもどかしい。早く千秋を抱きしめたい」 コイツはこんなことを言って恥ずかしくないのだろうか? 聞いている俺の方は胸がぎゅーっと掴まれたように苦しくなって、でもくすぐったかったり、恥ずかしくなったりしてしまうのに。 「……か、帰るぞ」 そう言うのが精一杯で家に向かうと新藤も後からついてきた。 家に帰ると新藤は買ってきたものを台所に運んでいく。 「何作るの?」 「クリームシチュー」 「へぇ。お前が作るなら旨いんだろうなぁ」 素直な感想を口にすると、新藤は微笑みながら作業を続けていた。 「もう千秋はすっかり餌付けされてるね」 「え、餌付けだと!?」 俺が不機嫌そうに睨みつけると新藤はクスッと笑う。 「やっぱり千秋は可愛いや」 「可愛いって言うな! お前の飯なんかもう食わねーんだからな」 「そうなの? 美味しいのに残念」 ハハハと笑う新藤はやっぱり余裕顔でムカつき度さらに上昇。 軽くため息をついてダイニングの椅子に座ろうとしたとき。 台所で食材を並べていた新藤が振り向いて俺をいきなり抱きしめてきた。 「な、なんだよっ」 「夕飯の用意をする前に千秋が食べたい」 「食うな! 俺は食いもんじゃねぇ」 「僕にどれだけおあずけ食らわすつもり?」 「おあずけだと!? ふざけ…んっ……んぁ…っ」 俺は怒鳴っていたから口が開いていたわけで。 そこから俺の唇をこじ開けるように新藤の舌が入ってくる。 そして、貪るように絡められた舌技にやはり俺は翻弄されてしまうしかない。

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