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11.甘く溶けていく 14
人を好きになると、頭の中を溶かされていくみたいだ。
まどろんで、あいつしか見えなくなっていく。
新藤も溶けてるんだろうか……。
キッチンにもたれかかったままそんな事を考えていると、さっきの新藤の言葉を思い出した。
『ただ、千秋には素直に喜んでいてほしいな』
俺はこんなだから、きっと気づかないうちに新藤を傷つけてしまっている。
でも誤解されたくないからちゃんと話さなきゃいけないよな。
動きたくないほどぐったりしていたわけだけど、力を振り絞って思いっきり新藤に抱きついた。
いや、正確にはタックルというべきかもしれない。
抱きついた弾みで新藤が反対側に倒れるものの、そのままきつく抱きしめた。
「千秋?」
「新藤……ご、ごめんな!」
「何が?」
「俺……昔から気持ちを言葉にするのが苦手で、いつも肝心なときに思ってもないことを言ってしまうんだ。あまのじゃくだし理不尽だとも思う……」
恐る恐る視線をあげて新藤のことを見ると、何も言わずじっと見ているので俺はそのまま続けた。
でも、話してるうちにどんどん俯いていってしまうけど。
「俺、付き合ったりするのお前が初めてだし。たまにどうしていいかわからなくなることがあるんだよ。俺の何気ない言葉で……お前を傷つけたか?」
「傷ついてなんかいないよ」
そう言って新藤は笑って言うけど、俺は不安でたまらなくなる。
「本当か? 本当なのか? 些細なことでも傷ついたり不満があるなら言ってくれ!」
「……そうだなぁ」
何も言わないのかと思っていたら、言いかけたので驚いてしまった。
「な、な、何かあるのか!?」
「言わない方がいい?」
「い、言え!」
何かありそうな様子を垣間見せる新藤に、自分から言えと言ったもののドキドキしながら返事を待った。
「さっきのはちょっと傷ついたかな?」
さっきのというのは、やっぱり飯を食う食わねーのくだりだろう。
やっぱり俺ってやつは……。
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