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11.甘く溶けていく 21
俺はガシガシと頭を洗うと次に体を洗ってあがった。
そして、タオルで髪を拭きながら部屋へと向かう階段の途中でふと考える。
あがってくるのが早すぎただろうか?
がっついてるって思われるのもな……。
いや、がっついてるっちゃ、がっついてんだけど。
いやいやいやいや! がっついてなんかねーし!
って、ぶんぶんとかぶりを振りながら、俺は何を思ってるんだと思った。
新藤もこんくらいだっただろ。
とりあえず落ち着こう。
フーッと1回大きく息をするとまた階段をのぼり始めた。
でも、階段を1段あがるごとに心拍数が上がっていく気がする。
何をドキドキしてんだろう。
なんか、バカみてぇじゃん。それに、期待してるみたいじゃん。
それもこれもきっと新藤の接触禁止令のせいだと思いながら、ガチャッと自分の部屋のドアを少し開けた。
でも、なぜか部屋の中は静かだった。
「新藤……?」
呼びかけてみるも返事はない。
不思議に思って、中に入ると……新藤は濡れた髪を乾かさぬまま俺のベッドに横になって寝ているようだった。
「新藤、風邪引くぞ。寝るなら髪乾かせ」
でも、新藤は規則正しい寝息をたてたまま返事をしない。
なんだ……寝ちまったのか。 と、少しだけがっかりしてしまう。
前にもこんな時があったっけ。
そんなことを思っていたら、なんだか胸がドキドキとしてきてしまった。
新藤の寝顔をみていると……物凄くドキドキするから。
濡れた髪、風呂上がりに上気した頬、無防備な寝顔……。
ゴクッと喉から音が出るくらいに生唾を飲み込むと、艶のある新藤の黒髪に軽く触れた。
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