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11.甘く溶けていく 23

前に付けたときより上手くつけられたキスマークを軽く指でなぞりながら、吸い付いた新藤の肌に跡が付くと、もっと付けたいと思ってしまう。 もう、本当に止まらないかも。 こうやって新藤を見下ろしてる姿勢だって、なんかぞわぞわとして堪らなくなってくる。 さっきまで新藤が起きないようにと気を配っていたのに。 それからは、少しずつ力加減もいい加減になってしまって、数カ所にキスマークをつけてたころにはかなり大胆になっていたんだと思う。 だから、気が付いたときには……。 なぜか俺の方が、新藤に捕獲されていた。 ぐるりと視界が回転したかと思えばいつの間にやら、視界には見慣れた天井が広がり、新藤に組み敷かれている俺。 するとニヤリと笑った新藤は俺にこう言い放った。 「寝込みを襲うならもっと慎重にね? 僕の好みとしてはもっとキスが欲しかったかな」 そう言いながら指で俺の唇に触れた。 さっきまで何しても起きなかった癖に。まさか……。 「まさか、起きてたとか言わねえよな」 「ずっと起きてたよ」 「寝てたんじゃねえのかよ! 何も返事しなかったし!」 「目を瞑ってただけ。だるくて返事しなかった」 「なっ……」 新藤がまた余裕顔で笑ってるから、結局自分だけが必死なんじゃないかとか思って胸の中にモヤモヤした気持ちが広がっていく。 そして、同時に自分の行動を思い出せば出すほどに恥ずかしくて小さくなって消えてしまいたくなる。 「離せっ」 俺は新藤の手を払って布団に潜り込んだ。

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