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11.甘く溶けていく 29

イッたあと俺たちはしばらくそのまま抱き合っていた。 肩で大きく息をしていると、また新藤が俺の唇にキスをする。 もういろんなものがグチャグチャで新藤のことしか考えられない。 よくもまぁ、ここまで躾られたものだ。 こんな甘々な男の言葉がもっと聞きたくてたまらない日がくるなんて考えもしなかった。 それに、新藤がいない生活なんて考えられない。 どうして、俺はこんなにも好きになっちまったんだろう……。 ……だからたまに不安になる。 いつか、俺の方がお前のことを好きになりすぎて俺だけ置いていかれてしまったら……って。 こんな方向に考えが行っちゃうなんておかしいかもしれないけど。 幸せだと感じれば感じるほどに、終わりが来てしまわないかと不安になるんだ。 新藤のキスに応えながら、そんなことを考えていたら無意識に新藤のことをぎゅーっと抱きしめてしまっていたらしい。 「痛いよ千秋。どうしたの?」 「ごめん。つい、力が入って」 お前が離れていかないように掴んでたなんて死んでも言えるわけないから、腕の力を弱めて俯いた。 なのに……。 「そんなことしなくても僕はどこにも行かないよ?」 ニコニコしながら言う新藤に驚きを隠せない。 そ、そうだった。 こいつは読心術使いだった! 全てを見透かされている訳ではないはずなのに、頭の中を全部見られたような感覚に陥り焦ってやらなくていいのに手足をばたつかせてしまうと。 「あれ? 図星だった?」 しまったー、墓穴ー! そして余計に不振な動きをしていると新藤に抱き締められた。 「僕はどこにもいかないから」 優しく、心地よい低さで響く新藤の声が俺を落ち着かせていく。 やっぱりコイツが好きなんだ……って、改めて思った。

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