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11.甘く溶けていく 32
さっきのは一体何だ?
アイツはどう思って俺と付き合ってるんだ。
俺が嫌々付き合ってるとでも思っていたのか?
それとも俺がそう思わせている何かがあるのか?
……いや、あるかもしんねぇ。
俺はこんな性格だし、可愛げがないのもわかっている。
いつも新藤は笑って何でも許してくれるから安心してたけど、そこに不満があったら……俺はどうしたらいいんだろう。
ぼんやりと天井を見つめていると、新藤が部屋に戻ってきた。
「千秋、起きた?」
にっこりと微笑んだ新藤はまたベッドに腰掛ける。
「今、何時?」
「朝の10時前だよ」
何時まで起きていたのかわからないけど、そんなに寝てたのか。
「新藤……」
「どうしたの?」
“さっきのはどういう意味だ?”
って聞きたいが、面と向かって聞く勇気がない。
「どこ行ってたんだ?」
「ちょっと電話してた」
「誰と?」
「知り合いと」
普段は誰と電話してるとか気にならないのに、今日は知り合いって誰だよって思ってしまう。
「……動けねぇ」
「ちょっと激しくしすぎたかな? ごめんね」
「新藤……」
「さっきからどうしたの?」
「…………キス、しろ」
「今日は随分と甘えたなんだね?」
「うるせー……。さっさとしやがれ」
「うん。そうだね」
いつもと変わらないキスをして少しだけ安心した。
こうやって肌が触れ合う距離にいると安心する。
目の前にいる新藤は変わらないけど、さっき言ってたことが胸に引っかかる。
やっぱり不安にさせている何かがあるということだろうか?
わかんねー……。
つか、本人に聞くか?
いやいやいやいや、マジで重たい空気になったら耐えられないかもしれない。
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