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11.甘く溶けていく 35
その時の新藤は、捨てられた仔犬のような目をしていて、こっちが焦ってしまう。
なんつー目をしてるんだ?
どうしたんだ!? 何があったんだ!?
って思うけど、その儚げな表情に胸がキュンとしてしまった。
また、新藤の罠かもしれない。
いや、きっと罠に違いない。
でも、これが新藤の罠でも構わないとも思ってしまう。
……そんなこと思ってしまう俺も相当やばい。
「新藤、ここに座れ」
俺は席を立ってそこに新藤を座らせた。
新藤は不思議そうな顔をしていたが、なにも言わずに俺の座っていた椅子に座る。
「俺さ、相当のバカだと思うんだ」
「何の話?」
「でも、お前も相当バカだと思うぜ」
「だから、何の話だよ?」
「俺らはバカ同士なんだ」
新藤は不思議そうに首を傾げていたけど、俺は新藤の膝の上に跨り、向かい合わせになるように座った。
こうやって座るのが一番近くに感じられる気がしたから、そうやって座ったんだ。
思ったままに行動を起こしてみたものの、やっぱり恥ずかしくて新藤の肩に自分の額を押しつけてしまう。
ソワソワして、なんか落ち着かない。
そして、思わず気持ちが溢れ出てしまう。
「千秋?」
「……俺のこと好きか?」
俺は何を聞いてんだ!? って、頭では思うのに口が勝手に喋ってた。
「好きだよ」
「……もっと言え。100回くらい言え」
つか、なんてウザいことを言ってんだ!? 俺!
「好きだよ。千秋が好き……大好き……」
「マジで100回言うつもりかよ!?」
新藤は俺に甘い、甘すぎる。
でも俺だけだと思うと嬉しくてたまらないし、新藤の目を見ているとゾクゾクした。
そしたら我慢が利かなくなって俺は新藤の顔を強引に引き寄せてキスをしていた。
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