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12.とびきりを届けたい 5
─────…
もう委員会は終わっただろうか? もう既に帰ってたりして。結構、時間も経ってるし。
とりあえず靴箱を確認して、新藤の靴がなかったら新藤の家に行ってみようと思いながら、門の近くに差し掛かったとき。
「あっ、新藤……」
数人と門の方へ向かってくる新藤の姿が見えて、なぜか思わず隠れてしまった。
ってか、何で隠れてんだよ。俺!
でもすっかり出て行くタイミングを逃した俺は新藤が一緒にいる人達とわかれ、一人になるタイミングを見計らう。
だが、その集団が個々に分かれる前に一台の車が門の前に停まった。
その車のせいで、向こうが見え難くなり、新藤たちの様子がよくわからなってしまう。
しょうがないので、新藤に気づかれないように身を乗り出したとき、不意に車の運転席のドアが開いた。
そして、そこから長身の眼鏡をかけた男が降りてきて集団に向かって声をかけた。
「…───修平」
えっ?
一瞬、全ての動作が止まった。
聞き間違いか? なんて思った矢先に、新藤がその声に反応する。
そして新藤はその眼鏡男を見るなり手を挙げて、集団に何かを告げて眼鏡男の車に乗っていってしまった。
だ、だ、だ、誰なんだ──!? 誰なんだ、あいつは。
新藤はどこに行ったんだ!?
つか、何故……あいつには名前を呼ばせてるんだ⁉︎
聞き逃さなかった。聞こえなかったらどんなに幸せだったか……。
でも聞いてしまった。
『…───修平』
俺にはダメだって言ったくせに、どうしてあの眼鏡男には呼ばせてるんだ?
新しい男か? …………。
いやいやいやいや。
また、自分で言ったのに傷ついてしまった。
もしかして、二股!?
新藤はそんなことしない。
じゃあ……俺に飽きた?
今日は自分の言葉にダメージ受けすぎな気がする。
つか、誰なんだよ……。 あの眼鏡。
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