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12.とびきりを届けたい 20
修平は俺に欲を吐き出して、俺に覆い被さるように倒れ込んできた。
そして息を整えると俺の髪に触れ、抱きしめるように腕に力を込める。
「千秋……」
「ん?」
「僕は千秋以上に好きになる人はいない。これからもずっと千秋だけを見ていると思うんだ」
「なんだよ。いきなり……」
急にそんなことを言われてびっくりしたのと、嬉しいのとで顔が赤くなってしまう。
すると修平が優しく微笑んだ。
「愛してるってそんなに嬉しかった?」
「…………」
「ねぇ、嬉しかった? 教えてよ」
吐息交じりの声が耳に当たるので、擽ったくて俯きながらぼそりと呟いた。
「……死ぬほど嬉しかった」
すると修平はニッコリ笑いながら俺を抱き寄せて、“愛してるよ”と耳元で囁く。
やばい、今なら軽く死ねる気がする……。
「なぁ……」
俺が修平の腕の中で見上げて言うと修平は何? と優しく答えた。
「普段から修平って呼んでもいい? 俺、呼びたいよ。お前の……名前だから」
修平は一呼吸置くと、にっこり微笑みながらゆっくりと頷いた。
「いいよ。呼んで」
「修平……」
「あ、でもあんまり艶っぽく言わないで。反応してしまうから」
「どんなだよ!」
突っ込みを入れて少し笑うと、また俺は修平の胸に顔を埋めた。
「修平、俺のこと離すんじゃねぇぞ」
「離さないよ」
「……後悔してないかとかも思うなよ」
「えっ?」
修平は驚いた顔をして俺を見つめた。
ずっと気になっていたこと、今ならちゃんと面と向かって聞けると思う。
「俺がどうして後悔してると思ったんだよ」
「それは……」
修平はまた俺から目をそらし、ばつが悪そうに頬を指でポリポリと掻く。
また煮え切らない表情だ。
俺は、なんでもいいからはっきり言って欲しいのに。
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