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12.とびきりを届けたい 22
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───…
「もう、こんな時間だ。帰らないと」
しばらく抱き合いながら、修平の言葉にはたと気付く。
……そうでした。ここは学校でした。
忘れてめちゃくちゃ喘いでいましたが、大丈夫だったかな。
困惑しながらブツブツ言っていると、修平が少し笑いながら宥めるように俺の背中をさすった。
そして、服を整えてキョロキョロしながら書庫を出る。
あんなエッチしといて校内を歩くのが気恥ずかしいような。なんか申し訳ないような変な気持ち。
いや、書庫の扉は結構頑丈で分厚そうだったし、窓も上の方に小窓が付いてるくらいだから誰かに見らてるわけじゃないだろうけどさ。
なんか、学校でって……俺にはレベルが高すぎて耐えられない。
1人ドキマギしながら薄暗い廊下を修平と一緒に歩く。
外はもう暗くなっていた。
「僕たち時間を忘れすぎたね」
耳元で囁くように言った修平の声は明らかに面白がっているような声で、また俺が恥ずかしがるのを楽しんでいるんだと思った。
そして、靴を履き替え門を出た時、修平がいきなり俺の手を掴む。
「たまには手繋いで帰ろうか」
「ばっ、バカやろう。人が見るだろ」
「暗いから平気だよ」
すっかり日が落ちるのも早くなっていたので、確かに見えないかもしれないけど。
俺の心臓がヤバイのに。
でも修平ときたら、そんなことは気にもしない様子で。
「あーあ、今日はこのまま千秋を連れて帰りたいなぁ。最近、僕と一緒にいられなくて寂しかった?」
修平と繋いだ手が熱い。
「修平が忙しすぎるのが悪い」
「ひどいなぁ。僕は千秋のために頑張ってたんだけどな」
「俺の為ってなんだよ?」
「修学旅行。部屋とかバスの座席とか。どうやって調整するか考えてた」
「そんなことしてたんだ!?」
「クラス委員は便利だろ?」
こいつは、職権を乱用する気かよ。
ちょっと呆れたけど。でも、おかげで近づいてきた修学旅行がより楽しみになった。
もうすぐだなぁと思いながら、俺と修平はかなり遠回りして、くだらない話をしながら家に帰った。
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