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第13章 修学旅行一日目 1
そして、待ちに待った修学旅行がやってくる!
「京都は寒いんだってよ! 盆地だから」
そう言って新幹線の中で内川が俺たちに話しかけてくる。
窓の外を流れる景色にワクワクしながら、内川は修学旅行の概要が書かれているしおりを見て、少しだけつまらなそうにした。
「いいよなぁ。俺もお前らと同じ部屋がよかった」
修学旅行中は4~5人で1部屋を割り当てられている。
それは安易に出席番号でわけられているので内川は違う部屋になった。
本当は俺(柏木)と修平(新藤)の間でも部屋が分かれていたはずだったのだが、修平がうまいこと先生らを言いくるめて同じ部屋になるようにしたらしい。
と言うのも、数週間前。
──千秋、同じ部屋になったよ。
──はぁ? 発表では確か隣の部屋だったはずだぞ?
──だから同じ部屋になれるようにしてきた。
──もしかして俺らの関係をバラしたのか!?
──まさか、単純なことだよ。
何をどうしたら同じ部屋になるのか、修平は単純なことだよとしか教えてくれなかったけど、どう考えてもわからない。
それに一度発表されたものを、後から俺と修平が同じ部屋になるように変わるなんて不自然だ。
この不自然さで、周りに感づかれないか心配で心配でたまらない思いをしたのに、数日後先生の口から出た言葉は……。
「一度は発表した部屋割りだが、何かと出席番号の早い順からだろ? だから今回の部屋割りは気分を変えて逆からにすることにしたぞ~」
はぁ⁉︎ なんだと!? 出席番号逆から?
そして配られた表を見ると、805号室の上の方に新藤、最後に柏木の文字が……。
あ……。
「な、単純だって言っただろ?」
ニコニコ笑いながら言う修平め。
こいつはまた、絶対俺が悩んでるの見て楽しんでたに違いない!
くそ修平! こんなことなら先に言いやがれ!
…───というわけで今に至る。
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