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13.修学旅行一日目 2
「早くに言ってくれたらドキドキしなくてよかったのに」
「たまには千秋にも頭の体操が必要だと思ってね」
「どーせ俺は馬鹿ですよ」
不貞腐れながら窓の外をみていると、京都タワーが見えてきた。
日程は3泊4日。
1日目はクラスごとにバスで移動して名所を巡り。
2日目は自由行動。
3日目は嵐山に行くのだそうだ。
毎日数時間の自由時間があるけど、2日目は完全なる自由行動なので今からわくわくしている。
駅に着くと既にバスが並んで停まっていて、自分のクラスの番号が書かれたバスに乗り込んでいく。
ここでも修平は隣の席。
しかも……、一番後ろの席だ。
「二条城と金閣寺楽しみだね?」
修平は終始ご機嫌で、俺を窓側に座らせるとにっこり笑い制服の上着を脱いだ。
「暑いのか?」と、俺が聞くと。
「違うよ。手を出して」
そう言われたので素直に手を出すと……。
軽く畳んだ制服を自分と俺との間にフワッと置いたその下で……て、て、手を繋がれた!?
「なっ……⁉︎」
「黙ってたらバレない。一番後ろだから特にね」
修平は人差し指を立てて口元に当てると、またニッコリと微笑む。
それにしても、こいつはこの修学旅行だけでどれだけの不正を働いたのだろう。
きっとこの席だってわざと後ろにしたに違いない。職権乱用というやつだ。
つか、見えないとはいえやっぱり気になるから手を抜こうとするとグッと掴まれて、逆に恋人つなぎへとバージョンアップされてしまったし!
さらに焦る俺に、新藤は耳元でこう囁いたんだ。
「暴れたら、ここでキスするよ? 千秋の好きな舌を使ってさ……」
今日の修平は無敵だ……。
京都に来たからですか? そうなんですか!?
つか、ゾクゾクするような甘い声で囁かれたら別の部分が反応しそうで困るんだが!
もう、それからは諦めて窓の外を眺めていたけど、繋いだ左手はジンジンしてて少しでも気を抜いたら絶対に顔が赤くなると思った。
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