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13.修学旅行一日目 4

そして一通りの見学が終わるとまたバスに乗り込み、次の目的地は金閣寺だ。 そしてやはり、バスの中では手を繋いでくる修平。 不意に内川とかが振り向いてくると体がビクッとなってしまう。 だから、頼むから内川! いきなり振り返るな! そのたびに修平が「自然にね」と笑いながら囁くのだが。 自然になんて出来るかボケが! また変な緊張感の中、バスはわりとすぐに金閣寺に着いた。 「金閣寺って本当に金ピカなのかな?」 俺がそう言って振り向くと修平はクスッと笑う。 「千秋は金閣寺の正式名称を知ってる?」 「え、知らない。金閣寺って通称なの?」 「正式名は鹿苑寺(ろくおんじ)って言うんだよ」 「お前ってやっぱ凄いな」 修平は物知りだなぁなんて思いながらバスを降りると、金閣寺は自由に回れと言うことだったので俺は修平と内川といういつものメンバーで回ることに。 ──── 敷地内に入り、黒門と呼ばれるところを過ぎて少し行ったところに『抹茶ソフトクリーム』の看板を発見した! 柏木家では旅行に行けばご当地ソフトを食べることが通例となっているので、今回ももちろん食べてみたくなる。 この間、信州に修学旅行に行った双子はわさびソフトを食べたと言ってたし、やっぱり京都と言えば抹茶だろ! 「抹茶ソフト食わねえ?」 「入っていきなり食いもんかよ」 内川はケラケラ笑うけど食いたいもんは食いたい! 「だって食ってみたいじゃん!」 「寒くね?」 「でもご当地ソフトだぞ!」 内川はあまり乗り気ではなかったけど。 「まぁ、せっかくだから食べようか」 って修平が賛成してくれたおかげで抹茶ソフトクリームにありつくことが出来た。 確かに少し寒いけど、ご当地ソフトクリームにありつけて機嫌よくソフトクリームを食べていると……。 修平が目を細めながら俺をみていることに気が付いた。

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