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13.修学旅行一日目 8

宿舎に着くとまず荷物を置くために部屋へと向かう。 俺たちの部屋は4人部屋。 部屋に入るなりどこに寝るかの場所取り合戦が始まった。 「俺、奥ー!」 「俺だって奥がいいのに! 新藤と柏木はどうする?」 同室の2人が奥を取りながら聞いてきたので、「入り口側がいい」と俺が言うと。 「僕はどこでもいいよ」と修平も微笑みながら言うので、俺が入り口側でその隣が修平というのが先に決定。 そして、奥を取り合ってた2人はじゃんけんして日替わりで場所を交代することに決まった。 そして荷物を整理しながら、くだらない話をみんなでしていると、お待ちかねの夕食タイムとなる! 時間になると同室の2人は一目散に駆け出して行ったので、俺も立ち上がり部屋を出ようとすると、修平に腕を掴まれた。 修平はどことなく心配そうに眉を寄せている。 「千秋、どこか具合でも悪いの?」 「いや、そんなことないけど」 すると修平は掴んでいる方の親指の腹で、俺の肌を撫でた。 「様子がおかしいから心配した」 心配してくれている修平には悪いが、多分……俺が欲求不満なだけだ。 でも、そんなこと言えねえし、言ったとこでどうも出来ねえし、4人部屋だし。 修平に心配をかけないように、精一杯の笑顔を作って夕食に向かう。 「大丈夫だって! 早く行こうぜ!」 修平はまだ気にしてるようだったけど、俺の後について大広間へと向かった。 「柏木ー! 新藤ー! 遅ぇよ!」 手招きする内川の隣に座ると、向かいに座っていた女子達が顔を赤らめるので、また少しもやっとしてしまったけど! 気にするな、俺! 夕食には湯豆腐が出た。 温かい湯豆腐と京都の味覚に舌鼓を打ちながらワイワイ食べ、それから大浴場にて風呂に入る。

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