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13.修学旅行一日目 18
そして、就寝までの少ない自由時間に同室の奴らは他の部屋に遊びに行くと言い、内川もガイドブックを持って自分の部屋に帰ると出て行ったので修平と2人きりになる。
「……もう、俺の話はすんなよ」
「恥ずかしかった?」
「普通は恥ずかしいだろ」
「でも、セックスしてアンアン喘いで、僕にすがりついてきた話はしてないのに?」
ニヤッと笑う修平が憎たらしくてたまらなくなる。
「うるせーよ」
「でもさ……」
そう言うと修平は俺の手にそっと触れながら微笑んだ。
「あの時は千秋がこんなに僕のことを想ってくれるようになるなんて思わなかった」
「修平……?」
修平は俺の耳元に顔を近づけると
「好きになってくれて、ありがとう」
と言って俺の頬にチュッと軽いキスをした。
不意打ちのキスに全身の細胞が震えるみたいにぞわぞわして、思わず体がびくついてしまう。
ただ好きになっただけなのに、修平にそんな風にお礼なんか言われてめちゃくちゃ嬉しくて、同時に凄く恥ずかしくなった。
でも、なんででしょうね?
俺はムラムラしてきてしまったわけで……。
さっき、非常階段でキスして収まったはずだったのに……。
また触れたくてたまらなくなる。
いい雰囲気なのに、なんでこんな事ばっかり考えてんだろ、俺。
にっこりと笑っている修平を見ていると心が痛い。
ちょっとだけ修平に触れさせてもらおうか……。
いや、下手に触れて勃ってもやっかいだ。
なんて考えてるうちに、就寝時間になり同室の2人が部屋に戻ってきてしまった。
うー……。
やっぱり生殺しじゃん。
同じ部屋、すぐ隣に大好きな修平がいる。
布団に入って修平のことを見ていると、修平が寝返りを打って声を出さずに、
『おやすみ』と口を動かしてまた優しく目を細めた。
それがまた秘密の挨拶っぽくてドキドキしてしまって……。
健康な高2男子にはきつすぎるぜ。
俺はその日、修行のような夜を過ごしたのだった。
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