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14.修学旅行二日目 3
ちょっと嬉しいとか思ってしまって、思わず立ち止まってしまうと修平が俺のことを覗き込んだ。
「どうしたの? 嬉しくて足が止まった?」
「勝手に人の心を読むなよ」
「図星なんだ。可愛いね」
前は修平に可愛いと言われるのが嫌だったのに、最近はそれすらも嬉しいとか思ってしまう。
それは、俺自身も甘えてくる修平を可愛いと感じる気持ちがわかったからかもしれない。
どんどん変わっていくって、それだけ好きになるってことなのかな。
それに、最近は独占欲とかも大きくなってきてるのだって自覚してて。
「おい! 修平! お前はさ、このままの調子でこれからもクールに振る舞え」
なんて訳のわからない俺の要望にだって修平は、「わかった」と一言だけ言ってにっこり微笑むから、ちょっと笑ってしまったけど、それだけで心が満たされていく。
すると、少し先を歩いていた内川に大きな声で呼ばれた。
「おーい! 新藤ー柏木ー! ちょっと来て見ろよ」
手招きする内川たちと合流すると、女子たちが石段を指差してそこに行きたいと言った。
「ここは何?」
俺が質問すると女子の中で一番活発な子が教えてくれる。
「ここは地主神社って言ってね、縁結びの神社なんだよ」
「へぇー縁結びかぁ」
女子ってこういうの好きだよななんて思っていたら内川にバンバンと背中を叩かれた。
「柏木も神頼みしとけ。フラれまくりなんだから」
内川はからかうように言ったけど、お前が一番行く気満々なのは知ってるんだからな。
俺が不機嫌そうに眉間にしわを寄せていると、また班の女子が修平に、
「新藤くんは……付き合ってる人いるから必要ないの……かな?」と聞いたわけだ。
すると修平はいつもの隙のない笑顔で、また物腰柔らかに答える。
「僕は遠慮させてもらおうかな。みんなは行ってきなよ。千秋とそこら辺をブラブラしとくから」
「柏木も神頼みが必要じゃね?」
「千秋は道連れ。さすがに1人だとつまらないから」
「確かに。柏木の場合、祈っても無駄だろうから新藤と行けよ」
無駄ってなんだよ! って内川に言ってやりたかったのに修平が俺の腕を引いて行くものだからそのまま来てしまった。
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