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14.修学旅行二日目 5
自由行動も終盤となると、みんな土産物に目がいくわけで。
俺たちは当初の目的である甘味屋さんに行きたいけど、女子達は京都ならではの化粧品やら櫛などを見に行きたいと言い、みんな行きたいところがバラバラなので男子と女子に分かれて1時間後に集合ということになった。
女子たちは不満そうではあったが、アクセサリーだのあぶらとり紙などに興味がない人を連れて行くのは気が引けたのか意外とあっさり歩いていった。
「さて、俺たちも行くかー」
張り切っている内川と共に一目散に塚本が言っていた甘味茶寮に向かう。
八坂神社からは一本道だったのですぐに着いた。
店内はさすがと思うほどに抹茶のお菓子ばかりだった。
それに試食なんかもちょこちょこ出ていたので、いろいろ試食させてもらう。
どれもお菓子の甘みの中に抹茶の味がしっかりしていて、でも苦すぎないから凄く美味しい。
俺が試食に夢中になっていると修平や内川は抹茶カステラが置いてあるところで何やら話し合っているようだ。
「どうしよう。ほうじ茶カステラとか珍しくね?」
「きっとこれも買ってあげたら喜ぶんじゃないかな?」
「そうだよな! よし、これも買う!」
買う予定をしていなかったほうじ茶カステラを見つけた2人は嬉しそうにしている。
それを見ながら俺は、今度はお茶の試飲もいただいていた。宇治茶も旨い。
そして、2人はカステラを買って、俺は試食で一番美味しかった抹茶クッキーと宇治茶を買って店を後にする。
それからもいろんなお店をみて土産を買った。
「あれ? またご当地のキャラクターキーホルダー買ってるの?」
内川が俺の手元を覗き込みながら言った。
「ああ。違うのを見つけたから」
「咲良ちゃんに?」
今度は修平が問いかけたので俺が頷くと、二人とも笑った。
「ほんと、柏木って妹に弱いよな」
「それは僕も思った。咲良ちゃん、喜んでくれたらいいね」
「うん。そうだな」
咲良はこのキャラクターが好きなので、この旅行中にもう既にいくつか買っていた。
見つけたら買ってやりたくなってしまうのが兄心ってやつで、早くこれを見て笑顔になる咲良の顔が見たいと思った。
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