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15.修学旅行最終日 4
「……あれ? 誰もいない。柏木はどこ行ったんだろう?」
聞こえてきたのは内川の声だった。
あ、危なかった……。
俺は胸をなでおろしていた。
今、俺は押し入れの中にいる。ちょうど外にみんなの布団を出していたので、その空いたスペースに入れたから助かったのだ。
「部屋に戻るって言ってたけど、どこか行ったのかな?」
すると修平の声も聞こえて来た。修平もいたなら尚更隠れられてよかった。
修平のジャージを匂いながら自慰行為してるなんて知られたくないし、もしも知られてしまったらと思うとゾッとする。恥ずかし過ぎるってもんじゃない。
二人の会話を聞きながら息を潜めじっとしていると、思わず持っている修平のジャージをぎゅっと握っていた。
頼むから早く部屋を出て行ってくれ……。
「お土産でも見に行ったのかな? ロビーに行ってみる?」
「そうだな! また、妹に買う土産とか見てるのかも」
すると、二人が話しながら部屋を出て行き扉の閉まる音が聞こえて安堵する。
「よかった……出て行った」
でも、ホッとするとさっきまで萎えかけていたムスコがまた元気になってきた。
つか、どんだけだよ! 元気すぎか! とは思ったけど、心配事がなくなると現金なもので。
また修平のジャージに顔なんかを埋めながら、欲には逆らえずにまたゆっくりと上下に慰めはじめればすぐに先走りが滲んできた。
修平の匂いを嗅いでると本当に気持ちよくて、どんどん扱く手も早くなっていく。
「…………っ……くっ」
修平……俺、もうイきそう……。
──そう思った瞬間だった。
ザザッと押し入れの扉が開かれて、視界が一瞬にして明るくなる。
はっとして見上げると、そこには妖艶に微笑んだ修平がいた。
「みーつけた……」
唇の端を上げて笑うと、目を細めながら俺のことを見ていた。
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