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第16章 心からのギフト 1
───…
「ただいまー!」
わが家に帰るとリビングには母さんと双子がいた。
「おかえり。楽しかった?」
「まぁな。お土産だぞー」
そう言って京都で買ってきたお土産をいっせいに広げてみせる。
「まぁ、美味しそうね」
母さんは抹茶クッキーに釘付けのようだ。
すると隣でお土産品を見ていた咲良が俺の制服の袖を引っ張った。
「ねぇ、お兄ちゃん。なんでこんなにご当地キーホルダーが大量なのよ」
「咲良そのキャラクター好きだろ? 全部種類が違うんだ。お兄ちゃん、咲良の為に買ってきたんだぞ」
絶対に喜ぶだろうと思って買ってきたのに、なぜか眉をひそめた咲良は不機嫌そうに口を開いた。
「こんなにキーホルダーばっかり……いらない」
「なっ!? そんなこと言うな」
「この鹿と大仏は奈良だし、たこ焼きは大阪で、琵琶湖とかこの猫のキャラクターって滋賀じゃん」
「で、で、でも! どれも京都市内で買ったんだからな!」
せっかく買ってきたのに、多すぎるって何が不満なんだか。
なんだ? 反抗期か?
咲良は難しい年頃になったものだ。
すると今度は樹が俺に文句を言い始めたではないか。
「咲良にはこんなにたくさんあるのに、どうして俺には金閣寺キーホルダーひとつなんだよ! 贔屓だ、」
どいつもこいつもうるさい。
そう思っていたら咲良が俺のカバンに視線をうつした。
「あー、お兄ちゃん。超かわいいキーホルダー! これちょうだい」
咲良が指さしたのは修平とお揃いのキーホルダー。
「それは駄目だ」
咲良に言うと、今度は樹が噛みつくように言ってくる。
「兄貴ばかり良いもの買ってきてズルいぞ!」
「違う。これは修平に貰ったんだよ」
すると一瞬にして咲良の目が輝いた。
「えっ、新藤さんが!? やっぱりセンスが違うよねぇ」
なんだよ、また修平ばかり誉めやがって。
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