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16.心からのギフト 3
駅前の大きな本屋でいろんな雑誌を物色中……。
片っ端からデートに最適な情報誌からタウン誌までみたけれど、なかなかイベントたるものは難しい。
若葉マークなのに軽自動車で首都高走ってるような気分だぜ。
運転したことないけど。
やっぱり誕生日にプレゼントは不可欠だよな。
何だったら修平は喜んでくれるかな?
せっかくなら残るものがいいけど……でも金あんまないからなぁ。
こんなことなら貯金しとくんだった。
いろんなことを考えながら雑誌を読みあさっていると、俺の後ろをOLさんらしき2人組が喋りながら通り過ぎる。
その時に、ふとそのOLさんたちの会話が耳に入ってきた。
「付き合って初めての彼氏の誕生日、プレゼント何にしようかな?」
ん!? 超タイムリーな話題なんだけど。
うー、めちゃくちゃ話が聞きたい。でも盗み聞きするのは気が引ける……。
でも恋愛初心者の俺にとってはまたとないチャンスだと思ったので、いろいろ迷ったあげく、参考がてら尾行させてもらうことにした。
「プレゼント決まってないの?」
「まだ……。ネクタイとかにしようかな」
「いいんじゃない。“貴方に首ったけ”ってことで」
「なにそれ!」
アハハとOLさん達は笑いながら歩いていく。
貴方に首ったけ? ネクタイにそんな意味があるのか?と俺が考えていると、なにそれ! と言っていた方のOLさんが手を叩いて何かを思いついたようだった。
「よし、ネクタイにしよっと」
「嘘、マジで貴方に首ったけ?」
「いや、私の場合は離れないように首を縛っておくの! 彼、凄くモテるから」
「なにそれ、自慢?」
「浮気防止!」
そう言うとOLさんは笑いながら首をキュッと縛るようなジェスチャーをした。
そうか、首に巻くというのは縛っておくっていう意味もあるんだな!
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