俺が作ったのは、細い縦長のプレートの端に三日月をくり貫いただけのシンプルなデザイン(予算の都合)のネックレスで、くり貫く時に手間取ってしまい少し歪になってしまったが、自分では気に入っていた。 と言うのも、これには隠し仕掛けがあって、付けてるときは三日月だけど鏡に映るとなんと！ 千秋の“Ｃ”になるわけだ。 フフフ、我ながら粋なデザインだと思う。 これで修平を縛ってやるんだ！ でもこんな裏事情的なものは恥ずかしいから修平には黙っておくけど、ひっそり鏡に映った修平を見て、しめしめと思いながら俺が楽しもうと思う。 プレゼントも用意したし、修平にも連絡したし、完璧だと思いつつベッドに寝転がっているとピーンポーンとインターホンのなる音が聞こえた。 すると下から母さんが俺を呼んだ。 「千秋ー。お客さんよ」 誰だろうと思っておりてみると……。 そこには塚本が立っていた。 「つ、塚本！ 何しに来たんだ？」 「こら、千秋！ 何しに来たじゃないでしょ！」 そこに居合わせた母さんに何故か怒鳴られる。 とりあえず上がるようにと母さんに言われた塚本だったが頑なにそれを拒んだので、仕方なく俺たちは近くの公園に移動することにした。 「で、どうしたんだよ？」 「あの、ね。……内川くんのことなんだけど」 「そうだ、あれから返事はしたのか？」 そう訊ねると塚本は静かにかぶりを振った。 そして小さな声で喋り出す。 「……私、話が書けなくなった」 「話？ ってＢＬ？ どーしてだよ」 「全部内川くんが総攻めになっちゃって話がどんどん変わってっちゃうの」 「それは駄目なことなのか？ つか、新しい話として思えば良くない？」 「駄目だよ。私は柏木くんの話を完結させたいのに」 なんか、すげー複雑な気分なんだけど。