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16.心からのギフト 8

次の日──。 修平の家に行く前にスーパーで買い物をした。 今日は俺がカレーを作ろうと思う。 いつも修平に作ってもらってばかりだし、今日は修平の誕生日を祝いに行くわけだからな! サプライズなわけだ。 でも、普段は料理とかしないから上手く作れるかわからないけど、慣れないスーパーでの買い物も、修平喜んでくれるかな? とか考えてるだけで浮き足立ってくる。 サプライズってめちゃくちゃワクワクするじゃねぇか! なのに、そのワクワクから一転してしまったのは……。 材料を買い込んで修平の家に向かうと、なんと修平が料理の下準備をしていた! 「な、なんだよ! なんで料理作ってんだよ!」 「え? どうしたの?」 と首を傾げている修平に、俺は自分の持っているスーパーの袋を見せつけた。 こんなことなら先に言っておけばよかった。 でもそれじゃサプライズにならないし……。 「今日はお前に食わせてやろうと思って買ってきたのに、む、無駄にしやがって」 修平が悪いわけではないのにまたつい、そんな言い方をしてあたってしまう。 しまった……って思っていると、修平がクスっと笑うと俺に聞いてきた。 「何を作ってくれようとしたの?」 「もういい。作らないし」 絶対に修平が作ろうとしてるものの方が美味いしすごいのに決まってるから背を向ければ、修平が俺のことを抱きしめてきた。 「な、なんだよ!」 「僕のは明日にするから。今日は千秋のが食べたい」 「だって、もう作りかけてるじゃんか」 あまりにもドキドキしてしまい、素直にわかったと言えばいいのに憎まれ口が癖になっている俺からはそんな言葉しか出てこない。 でも、そんな俺に修平はいやな顔ひとつ見せず、切った野菜やらをラップで包んで材料を冷蔵庫にしまっていく。 「これでいい?」 そんなニッコリして言われたら何も言えねえし、作るしかなくなるじゃんか。 「…………仕方ないから、作ってやる」 「ありがとう。メニューは?」 「カレーだ! 簡単なものしか出来ないからな」 普段、料理とかしないから野菜ひとつ切るだけで時間がかかってしまうし、形も悪い。 でも、チラッと横目で見るとニコニコした修平が目にはいった。 何がそんなに嬉しいんだか。 なんて思いつつ、嬉しそうな顔をしてる修平をみて俺も嬉しくなった。

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