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16.心からのギフト 9
数時間後、不格好なカレーが完成した。
修平は「とっても美味しい」と言って食べてくれた。
カレーのスパイス調合からする修平とは違い、ルーは市販のものだからありきたりな味なはずなのに、褒められるとやっぱり嬉しい。
「そういえばさ。昨日、塚本が来たんだよ」
「塚本さんが?」
少し食べたところで、昨日家に塚本が来たことを修平に言った。
そして話の内容を簡単に説明して、それを内川に言うべきか……と。
「うーん。本来は内川くんと塚本さんの問題だからね。千秋から言わない方がいいと思うよ。まー、千秋は観察されるわけだから誤解されそうなときだけ内川くんを諭せば」
「やっぱりそうだよな」
修平も俺と同じような意見でホッとしながら、カレーをひとくち頬張る。
俺もそうだけど、こういう話って直接聞きたいし伝えたいもん。
そんなことを思いながら修平を見ていると。
修平がどうしたの? というようなニュアンスで首を傾げた。
その仕草がちょっと可愛いとか思ってしまったことが恥ずかしくて、コップに入ったお茶を一気飲みして誤魔化した。人の色恋沙汰も大変だけど、俺も大概重症だと思う。
食事が終わると風呂に入ろうということななったんだが、修平の家に泊まるときに必ずと言っていいほどここで揉めるのだ。
それは、修平がいつだって一緒に入ろうと言ってくることだ。
これが困りものなのだ。
「俺が先に入って、お前は後だ!」
一緒に風呂なんて恥ずかしすぎる……。
アイツは恋人と風呂なんて慣れてるのかもしれないけど、修学旅行の時みたいに人がいるわけでもない風呂に一緒になんて入ったら、絶対に反応しちまうし。
そのまま……とか。
今日は計画があるんだから絶対に駄目だ。
俺は修平の服を借りて風呂場に行き、体を洗いながらどうやってネックレスを渡そうか考えていた。
やっぱりサプライズだから、思い出になるようにしたほうがいいんだろうか?
でもなぁ、シンプルに行った方が……。
あれこれと考えていたら、やけに喉が渇いてきた。
頭も使いすぎて糖分不足だし、風呂から上がったら修平にジュースでももらおう。
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