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番外編④ 千秋目覚める 2
そしてクスクス笑いながら俺に言った。
「そんなわけないじゃん。昨日、千秋がジュースと思って飲んだのはお酒だったんだよ」
「はぁ!? 酒?」
「まさか、本当に気持ちよすぎて記憶をなくしたかと思った?」
「んなわけあるかっ!」
とは言いつつちょっとでも信じかけた自分が恥ずかしすぎる。
巨峰ジュースと思っていたものは酒だったんだな。どおりで後味が変だと思った。
じゃあ、この頭痛は二日酔いってやつか?
……でも酒で頭が痛いのはわかるけど、ケツと腰はどういうことだ!?
「なぁ、修平! なんで俺は頭だけでなくケツや腰まで痛いんだよ!」
するとまた修平はけろっとした顔で言ったのだ。
「それはセックスしたからに決まってるでしょ?」
「なっ、……!?」
何、しれーっと言ってやがるんだコイツは!
「僕が風呂からあがってきたら千秋がこれ誕生日プレゼント~って言いながら伸びてて、それがあまりにも可愛くて襲っちゃった」
ニコッと笑いながら言う修平の話は信じがたいが、覚えてねえからしょうがねぇ。
「つか、なんだよ! 襲うなクソボケがっ!」
「だって赤くなってトロンと顔した顔の千秋見てたら我慢出来ないでしょ」
ぐいっと顔を近付けて言うなんてズルい!
「大丈夫。千秋も気持ちよさそうにしてたから」
「何が大丈夫なんだよ!? つか……俺なんか変なこと言ってなかったか?」
もし、いろんなことを口走っていたら恥ずかしすぎる。
「ん? いつもみたいに可愛く喘いでそのまま寝ちゃったよ」
どうやら変なことは口走ってないようだけど、計画が台無しだとがっかりした。
修平が喜んでるからいいけど。アイツがネックレスみた瞬間の顔が見たかったのに……。
「なぁ、修平! これ貰った瞬間の顔をもう一度しろ」
「え、無理だよ」
「覚えてないんだからもう一度しろよ!」
「覚えてない千秋が悪い」
修平はそう言うと俺を抱きしめると、キスをして俺の唇を塞いだんだ。
もうこれ以上何も言えなくなるくらい深いキスを。
それだけで満たされて黙ってしまう俺は、やっぱりお手軽だ。
そんな様子が修平にはバレていたのか、耳元でからかうかのように妙に色っぽい声で囁いた。
「セックスならもう一回してあげてもいいよ」
「す、するかボケッ! つか、水持ってこい! 水っ!」
「はいはい」
不意に色っぽい声を聞かされて赤面したボロボロの俺は、その日ずっと修平のベッドの上で過ごしたのだった。
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