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17.その目で見つめて 2

そんなことを思っていると背後に視線を感じた。 確認するまでもないが、念のためチラッと見てみると……やっぱり塚本だった。 休み明けから観察すると言っていたから、早速始まったわけだ。 親友を助けると思い、いつもなら怒鳴るところだが……ぐっと堪えて我慢する。 そんな塚本に内川も気付いていたようで、目の前のノートを見つめている。 好きな女が自分以外の男を観察してんだもんな……普通は嫌だよな。 でも、今の俺には観察されることを我慢するくらいしか出来ねぇが、どうか耐えてくれ。 と、願っていたのだけど…───。 そんな日常が三日ほどすぎた頃、痺れを切らしたのは内川だった。 「もう我慢できねぇ。なんで柏木ばっかりなんだよ!」 「これもお前の為だ。さっさと食え」 今は昼休み。 いつも通り中庭で、修平と内川と俺とで飯を食っていた。 そして少し離れたところで、今日も塚本はあんパン持参で俺のことを観察していたんだけど……。 「やっぱり塚本さんは柏木のことが好きなんだよ」 「違うって言ってんだろ」 そう言ってもがっくりと肩を落とし大きなため息をついている内川は痛々しい。 内川がついに恐れていた負のスパイラルに入ってしまった。 なんとか復活させねばと、俺は物陰に隠れている塚本を俺たちが昼食を食べている場所まで連れてくる。 もうはっきりさせるべきだ。 「あとどれくらいで完成するんだ?」 「えっと……あと1エピソード」 「それに必要なのはなんだ? もうさっさと終わらせてしまえ」 「……リクエストしてもいいの?」 「リクエストでも何でもいいから言えって」 すると塚本はもじもじしながら言いにくそうにしていたのだが、次の瞬間結構な声で叫んだ。 「柏木くんデートして!」 その瞬間、内川の顔は一気に青ざめた。

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