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17.その目で見つめて 8
「ふっ……っ…はぅ……」
唇は合わせずに舌で舌を舐めるって、これってキスになるのかな?
ピチャピチャと小さな音をたてながら修平は俺の舌の裏側を舐めたり軽く吸ったりする。
そして先端同士を合わせたかと思えば、先端に力を入れて押してみたり……。
「んっ……ッ……ふ……」
修平の舌の感触とか唾液とかがダイレクトに伝わってきて、ヤバい。
舌吸われるのって、結構気持ちいいかも。
そんな修平のキスにうっとりしていると、修平は最後に俺の舌先に軽くチュッと音がするようなキスを落として微笑んだ。
「グロス、取れなくて良かったね」
さっきまでキス出来なくて残念とか思ってたのに、一瞬にして満足してしまった。
でも心臓の音が聞こえちまうんじゃないかというくらいバクバクしている。
恥ずかしかったから、
「し、心臓に悪いっ!」
なんて突っかかって背を向けたけど、そのあと軽くにやけてしまったのは……内緒だ。
すると部屋から一段落した塚本たちが出てくる。
「そろそろ遊園地行こうか!」
俺たちは真の目的地である遊園地に向かって出かけるべく靴を履き、最初集まったときのようにマンション前に立った。
来たときと違うのは俺が女装してるってとこで。
これから街に向かうってのが不安でならない。
俺、変じゃないかな。
軽くため息をつき、見送りの為におりてきてくれていたあおいちゃんとはその場でわかれて遊園地に向かおうかとした時、急に修平が俺の手を取って歩き出そうとした。
「なっ、何してんだよ」
「今日は僕と千秋のデートだろ? 手くらい繋がなきゃだよね? 塚本さん?」
「出来れば恋人繋ぎでお願いします」
「了解」
そう言いながらニッコリ笑うと修平は繋いだ手を恋人繋ぎにつなぎ直す。
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