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17.その目で見つめて 9

「なっ! ちょっと待て! 俺は了解してない!」 「せっかくのデートだよ?」 「おい! 待てってば!」 そう言って修平は恋人繋ぎのまま歩いていこうとする。 修平の大胆行動にはいつも驚かされてばかりだ。 さっきまで“赤くなった”とか、ちょっと可愛いこと言ってたくせに、もういつもの修平に戻ってるし。 「新藤、ノリいいじゃん」 ただノリが良いだけだと思っている内川は面白がってはやし立てるし、相変わらず女子ニ名は鼻息が荒い。 あー! もう、どうにでもなれだ。 くそ! やけくそだ! 開き直った瞬間、修平がにっこりと微笑んで俺だけに聞こえる声で囁くように言った。 「堂々と手を繋げて嬉しいね」 そんなこと言われたら、余計に顔が赤くなるじゃねえか。 そんな俺のことなんてお構いなしの修平は、さらにもう一言囁いた。 「また後でキスしてくれる?」 修平の顔を見たらすごい笑顔で恥ずかしいんだけど、そんなにしたいのかって思うとちょっとだけ嬉しくなってしまう。 「……また、舌?」 「ううん。今度は唇。グロス取れるくらいのしてもいい?」 「グロス、口の中入ったら気持ち悪くない?」 「千秋のならなんでもいいよ」 なんか今日の俺、いつにも増して乙女チックじゃないか? 女装したからか? 街に出るとなると、バレないか不安だけど。 自分でも自分と気付かなかったくらい女の子みたくなったわけだし、修平とこうやって手を繋いでデート出来るなら……女装も悪くないかもしれない。 なんて、思ってしまってる俺はやっぱり単純な奴だと思う。 ──そんなこんなで俺たちは遊園地にやってきた。

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