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17.その目で見つめて 10

この遊園地は俺と修平の思い出の遊園地なわけで、なんか思い出すと照れる。 あの時は修平のことが大嫌いでコブ扱いしてたっけ。 そういえば、その時に初めて修平が作ってくれたマフィン食べたんだった。 それで、観覧車で修平が賭けを持ちかけて……で、俺が負けて……処女喪失。 うおー、なんか思い出しただけで恥ずかしいんだけどっ! 「何、百面相してるの?」 不意に視界の中に覗き込んで来た修平の顔が入り、色々と思い出していたのが恥ずかしくなって、焦りを隠すように振り向いて塚本に向かって叫ぶように言う。 「お前、ここまでしてやってんだからな! 早く完成させろよな!」 「うん。ここで完成させるつもりで頑張る」 「よしその息だ」 すると今度は修平の方が塚本に向かって聞いていた。 「で、僕たちはどうしたらいいの?」 「普通にデートみたく遊んでて。私は少し離れたところから観察するから」 そっかと言うと修平が俺の手を引いてアトラクションに向かう。 それからは普通に遊園地を満喫していた。かつらを抑えながらジェットコースターに乗ったり、メリーゴーランドに乗ったり、修平と付き合って手を繋いだデートなんて初めてだったから凄く楽しい。 いくつか乗り物に乗ったあと、修平は俺のことをベンチに座らせた。 「飲み物買ってくるから待ってて」 俺も行くって言おうとしたけど、慣れない靴が痛かったので甘えて待っていることにする。 少し離れたところで塚本と内川も休憩してるみたいだし、ここから見る限りではあいつらもいい感じに思えた。 内川は何やら忙しそうに書き物をしてる塚本にジュースを渡していた。 すると偶然手が触れしまい、お互いに茹で蛸状態になっていたり。 意識しすぎ! とか思いながら微笑ましく2人を見ていると、視界に人影が入ってきた。 修平だと思って見上げるとそこには知らない男が3人。 「ねぇ、君1人?」 「違う」 なんかヤバそうな奴らだけど……なんでこいつら男3人で遊園地なんかにいんだよ。

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