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17.その目で見つめて 20
修平は髪の毛を洗い終えると、今度は手にボディソープを取った。
「体は自分でやるからさ」
俺の制止を振り切り修平はボディソープを泡立てた手で俺の体に触れた。
その触れ方はさっきのシャンプーみたく遊び混じりな感じではなく妖艶で、触れられた部分が一気に熱くなっていくくらい、なんか触り方がめちゃくちゃやらしいんだけど。
「修平…ッ……」
俺が修平の手を掴むと修平がゆっくり顔を上げた。
「僕はね、千秋が好き」
「んぇ…っ?」
修平が体中を弄りながら言うから変な声になってしまう。
そんな俺を修平は優しい目で見てた。 そして、修平の声はとても穏やかだった。
「千秋だから好きなんだ。だから、そんなに思い悩まないで」
あぁ、さっき俺が言っていたことか。
“やっぱり女の子の方がいいか?……” ってやつ。
修平はいつだって俺が不安になっているとその不安を取り除いてくれる。
俺はいつも言葉にするのが下手で上手く言えてねぇのに、修平はそんな言葉足らずな俺の気持ちも全部飲み込んでくれてわかってくれる。
こんなにも思ってもらえてるんだって思うと胸が熱くなって、女々しい事ばっか考えてる俺はやっぱり面倒くせぇなって少し反省した。
……しかし、それにしてもさっきから修平は俺の体を艶めかしく洗いすぎじゃないか。
そんな風にされたら勃っちまいそうだろ!?
「そんな念入りに洗わなくていい」
「洗わなくちゃだめ」
確かに今日は遊園地行ったりしたけど、そこまで汗もかいてねぇし。
……つか、まじでヤバいし。
「修平……」
修平の手が下半身へと移動していった。
そして太ももに触れるとすねに向かって何度も何度も手を滑らせて洗う。
普段ならすね毛が生えてるわけだが、今日剃られてしまったので余計にツルツルして変な感じだ。
「なんでそこばっかり……」
俺が言うとまた修平は顔を上げた。
「僕以外の人が触れたから」
「はぁ?」
「仕方なかったにせよ、僕以外が触るのは嫌だから」
修平以外が触れたって……あおいちゃんのことか?
触られたっていうか、俺はすね毛を剃られたんだけど。
でも、それって嫉妬なのかな?
嫉妬だったら……ちょっと嬉しいな。
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