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17.その目で見つめて 27
えぇ──っ! ゲーム!?
一瞬、なんかわかった顔してたのにゲームかよっ! と、肩透かしくらった気分でいると、姉ちゃんが俺の手を引いてリビングを出た。
「千秋くん私の部屋に来て! 修平は持ってない面白いゲームがあるの」
「おい! 待て」
階段をのぼろうとしたところで反対側の手を修平に掴まれて引き止められた。
流れで姉ちゃんに連れてこられたけど修平の機嫌が物凄く悪いのがわかる。
左手は姉ちゃん、右手は修平に掴まれてなんか両方に引っ張られてるんですが。
俺、まだ裂けたくない。
そんな悶着をしているとまた玄関のドアがガチャッと開いた。
今度は誰だっ!?
と思って視線をあげると、そこには美人顔のおばさんが立っていて……もしや、この人は……?
「2人で何してるの? あら? 瑞希の新しい彼氏?」
その人は俺のことを姉ちゃんの新しい彼氏かと聞いた。
すると新藤姉弟はぴったり同じタイミングで言い放つ。
「そう、私の彼氏」
「違う、僕の友達」
どんだけ息ぴったりなんだよ……。 うちの双子もびっくりだよ。
するとその人は首を傾げながら俺にどっち? と聞いてきたので
「修平くんの友達です……お邪魔してます」
裂けそうになりながらの初対面ってどうなの?
なんて思っているとその人はポンと自分の手を叩いた。
「あらあら、もしかして千秋くん? 私、修平の母です。前に瑞希が言ってた修平のお友達ねぇ」
この人やっぱり修平の母さんか……。
「あ、はい。柏木千秋です。よろしくおねがいします」
キャリアウーマンって聞いてたから勝手に怖い感じの人を想像してたけど……優しそうだし修平は母さん似だな。
そんなことを考えていると、修平の母さんは不意に俺の両頬に触れた。
「あらあら、本当に可愛らしい」
俺、男なのに修平の家族に(修平も含めて)可愛いばかり言われてる気がするんですが。
それにみんなごぞってなぜ頬ばかり触るんだ!?
なんて思っていると、修平が俺の手を引いて階段を上っていく。
「お、おい。まだ挨拶途中」
そんなのお構いなしに部屋に入るとガチャッと鍵を閉めて、修平も俺の両頬を触った。
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