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17.その目で見つめて 28

そして俺の頬を撫でながら小さくため息をついた。 「母さんまで帰ってくるとは……予定外だ」 「おい、初めて会ったんだからちゃんと挨拶させろよ! ……俺、お前の家族に悪く思われたくない」 「心配しなくても母さんは千秋のこと気に入る。だけど、近づくな」 「はぁ!?」 すると修平は俺の頬に触れたまま真っ直ぐに俺のことを見つめた。 「姉貴と僕の趣味思考は90%以上が母からの遺伝だから安心できない」 そんなことを言われて、今度は俺の方がため息をつく。 修平ってめちゃくちゃ頭いいくせに、こういうとこ……ほんと馬鹿だと思う。 ──その日の晩御飯は修平と修平母・修平姉と一緒に食べたわけだけど、それぞれがそれぞれ俺におかずを取り分けてくれたから結局食べ過ぎて腹がはちきれそうになった。 でも、修平姉や修平母が帰ってきた時間が風呂から上がった後でよかったと思う……。 修平の家はいつ行っても修平しか居ないことが殆どだから油断してた。 今日は帰ってきたときは女装してたし、一緒に風呂とかだけでもやばいのに今日は風呂場でヤッちゃってたわけだし。 危なかった。 それにしても、修平の家族ってまだ修平父は見たことないけど、この3人……似すぎ。 90%以上が母遺伝ってのもわかる気がする。 修平は修平母や姉ちゃんが俺に構うたびに機嫌が悪そうにしながら自分も俺に構うの繰り返しでこっちがひやひやするけど、修平の家に来てこんなに賑やかだったことって今までになかったから新鮮で楽しい夕食だった。 腹一杯食って部屋に戻ると、修平はまた鍵を閉めて俺をベッドに押し倒した。 「お、おい……。鍵閉めたら怪しまれるだろ?」 「開けてたら姉貴が入ってくるからウザイ」 そう言ってぎゅーっと抱きしめて俺の頭の上に顎を乗せる。 そして髪の毛の上から額にリップ音をさせながらキスをして、そっと唇にキスをすると今度は俺の首筋に顔を埋めた。 「今日の千秋は母さんと姉貴にばっかりいい顔する」 「はぁ? なにそれ」 少し機嫌の悪そうな修平はぐりぐりと首に額を擦りながら俺のことをぎゅっと抱きしめた。 そんな修平は勝手だなぁとも思うけど可愛くもあって、俺の前だけで変わるこの姿には優越感すら覚える。 今まではそれだけだったけど、この姿を見た人が今までにいたのかな? って少し不安に思うのは、今日会ったカナって人のせいなのかな。

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