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18.背中合わせ 5

三人で話し込んでいるうちに夕飯時になったので、そろそろ帰ろうかということになった。 「じゃあ修平! また明日なー」 「うん。また明日ね」 俺が手を挙げると、咲良もペコっと頭を下げる。 「修平さん、さようなら」 「咲良ちゃんもまたね」 そう言って軽く手を振って公園を後にした。 反抗期の咲良も修平と喋ったのが楽しかったのか帰りも機嫌よく話をしていて、俺も嬉しくなって楽しく会話しながら上機嫌で家に帰ると……。 母さんが玄関で仁王立ちして俺たちの帰りを待っていた。 「おかえり」 ただならぬ雰囲気に一瞬戸惑う。 「た……ただいま」 恐る恐る返事をすると母さんが俺の目の前にすっと手を出した。 「千秋、今すぐスマホの電源を切ってお母さんに渡しなさい」 「えっ、えっ、なんで!?」 「あんた使いすぎなのよ! だから3日間没収」 「えぇ!」 携帯を使いすぎたら携帯を没収されるは柏木家のルールで、このルールは例外なくみんな従わなくてはならない。しかも没収期間は母さんのさじ加減で決まるから面倒だ。 「お兄ちゃん何度目よ」 さっきまで楽しく会話していたのに、冷めた目で兄を流し見たあとスタスタと二階にあがっていく咲良。 没収反対! と抗議したこともあったが、そんなことしたら没収期間が長引くだけで無意味だということも俺が一番良く知っている。 3日で済んでラッキーと思わないと。 身から出た錆とはいえ、憂鬱すぎてため息が漏れる。 素直に渡すしかないと悟った俺は修平に3日間携帯没収の旨をLINEで伝え、ロックをかけたあと電源を落として母さんに渡した。 修平も何度目かのことだからすぐわかるだろう。 つまんねぇけど、3日の我慢だし明日も学校で会えるしいいや。 ───…って思ってたんだけど。 修平は次の日学校を休んでいた。

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