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18.背中合わせ 8

マズい。こいつの情報網は凄いって塚本が言ってた。噂話なんかすぐに学年中に回る勢いだって。 変に事件に巻き込まれた感でも出してみろ、そうなって困るのは修平だ。 なんか勘ぐられたら大事になってしまいかねないから、何か言わなきゃと思った。 「いや、違うだろ。ハメ外したんじゃね? たまにそういう時ってあるじゃん」 「そ、そうだよね」 「俺、今親に携帯没収されちゃってて使えないからさ」 「へぇ、そうなんだ……」 何か言わなきゃとは思ったけど咄嗟にそれっぽい上手い話が思い付かなくて、ちゃんと誤魔化しになったのか謎だけど、笑顔で返した俺に彼女は少し安堵の表情を見せた。 きっと彼女自身も面倒なことには巻き込まれたくないだろう。それから塾に行くと言って彼女は歩いていった。 彼女を見送った後、サァーっと血の気が引くように自分の表情が消えていく気がした。 なんだろう、胸がザワザワする。 というか……嫌な予感しかしない。 俺は慌てて自宅に戻り、母さんに携帯を返してくれと頼んだ。 「あと2日間」 「2日くらいいいだろ!? なんなら後でいくらでも没収されていいからっ! 1ヶ月なくてもいい!」 「……どうしたの? そんな真剣な顔して」 「いいから!お願いだよ!」 今までにない気迫に驚いた母さんだったが、やっぱり返してはもらえなかった。 ちくしょう! 俺はたまらなくなって、もう一度修平の家へと向かっていた。 頼むから帰っていてくれ。 そう願って外から修平の部屋を見上げてみたけど、電気はついていない。 まだ帰ってないのか……。 まさか、何か良からぬことがあったのではないかと心配になる。 けど連絡するすべが無くて途方に暮れる。 そしてどうにもできないので、その日は家に帰った。 明日こそは修平が学校に来るようにと祈りながら。

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