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18.背中合わせ 9
──次の日。
修平が登校してきたのは昼過ぎだった。
昼飯を終えて教室に戻る途中、塚本の教室に寄ると言った内川とわかれひとりで教室に戻ると、修平が学校に来ていたのだ。
「修平! 来てたんだ!」
嬉しくて声をかけるも、なぜか修平の反応は薄い。
駆け寄り肩を叩くとようやく修平が俺の方を見た。
でも、その視線には何時ものような柔らかさは無く、少し感じる鋭さに違和感を感じる。
「昨日はどうしたんだ? 大丈夫か?」
その表情に引っかかりを感じながらも昨日までのことを問いかければ、修平は俺の問いかけには答えることなく、一呼吸おいて。
「話がある」
と言うと席を立ち、教室を出て行ってしまった。
修平の後をついて行くと、修平は階段を上っていき人の少ない理科室なんかがある階にやって来た。
何の話なんだろう? ただ話をするだけで人気のない場所に移動するとか。
……急に不安になる。
それに比例して、ドクンドクンと心臓の音がでかくなっていく。
嫌な予感がする。
でも、そんな予感なんて的中してほしくなかったのに───…。
修平は立ち止まり、振り返ると冷たい声色を響かせた。
「千秋。…───別れよう」
唐突に発せられた言葉は、俺がその言葉を理解する前に俺の体を突き抜けて行く。
そして、理解できないまま俺は立ち尽くしていた。
「…………え?」
修平の言ってる意味がわからない。
別れよう? 別れるって? 誰が? 俺と修平が?
別れ話なのか? これが……、俺たちの話なのか?
何も言えないまま、ただ無言の時間だけが過ぎていく。
その時間はあまりにも静寂で全ての音や感覚が消えたようだった。
別れ話とかって考えたことなんて無かったけど、もっと発狂したりするものだろうってイメージがあった。発狂しなかったとしても何らかの感情が吹き出すのではないかって。
でも実際は予想とは全く違って……何も考えられない。
何も分からない、理解できない。
ただ、“無”という空間に取り残されたように何も無い。
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