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19.俺の声を聞け 4

そして急いで近くの公園まで走っていくと、そこには咲良と……修平がいた。 修平の姿を見ると、咲良の事だけでなく今までため込んできたものが一気に弾けるように怒りが沸き起こってくる。 「咲良!」 「お兄ちゃん!?」 「どうしたんだ。どうしてコイツと……」 思わず強い口調で修平を指差しながら咲良を問い詰めると、咲良は俯いてしまった。 「修平さんは……」 只ですら咲良を連れてきたのが修平だということにイライラしていたのに。 そんなとき、咲良の手首に見慣れない痣を見つけた。 その痣は誰かに強く握られたような手形の跡で、それを見ると感情を抑え切れずに修平を睨んでいた。 「お前、妹に何をした!?」 「お兄ちゃん!」 「この痣はなんだ! お前がつけたのか⁉︎ 妹に近づくな!」 「お兄ちゃん違う!」 「咲良は黙ってろ」 俺は怒りで頭が沸騰寸前になっていて、その全てを修平にぶつけていた。 多分、咲良の手の痣のことだけじゃない。最近貯まっていたもの全てぶつけるような気迫で迫る。 修平はどんな反論をするのかと思いきや、少し伏し目がちになって。 「……ごめん」 とだけ、呟くように言うとすぐに背を向けて行ってしまった。 ……なんなんだよ。 前みたいに冷たく言いかえされると思っていたのに肩透かしをくらった気分だった。 俺はそんな修平の後ろ姿なんかを追うことなく咲良の手を引いて家に帰る。 「お兄ちゃん痛い」 「あいつに何された」 「何もされてないよ」 「じゃあ、その痣はなんだ!」 咲良の手を掴んで言うと、咲良はまた修平のせいじゃないと言った。 俺が聞き入れずに歩いていこうとすると、あろう事か咲良は俺のふくらはぎを、渾身の力を込めて蹴りやがった。 「お兄ちゃん何で話を最後まで聞いてくれないの!? 最低! 大嫌い!」 物凄い鈍い音が響くとともに、俺はその場にうずくまってしまう。 「い、痛ぇー! なっ、何するんだよ」 「ちゃんと聞かないお兄ちゃんが悪いのよ! 修平さんは私を助けてくれたんだからっ!」 助けて……くれた?

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