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19.俺の声を聞け 7

その甘ったるい声に鳥肌が立った。 電話に出たのは修平ではなくカナだった。 「てめぇ、なんで修平の電話に出てるんだよ。しかも妹によくも……」 『あら、口が悪いわね』 「答えろ、どうして修平の電話に出てるんだよ!」 『修平が出られないからよ。さっきの妹だったのね。どうりで話が通じないと思った』 カナはクスクスと笑いながら言った。 「ふざけんな! 妹がどれだけ怖い思いをしたと思ってるんだ」 『それは半分以上、千秋ちゃんのせいよ?』 「はぁ?」 『修平があなたのことばかり気にするからイライラするの』 面白そうに話すカナの言葉に俺の方がイライラしてくる。 何が俺のせいなんだよ。俺からしたら殆ど全てお前のせいじゃないか。 「修平はどうしてるんだ」 すると、カナはわざとらしくため息をついた。 『修平ったら強情なの。千秋ちゃんのことは忘れて私と付き合う約束したのに煮え切らないからお仕置きしてるのよ』 「お仕置き? お前、何様なんだよ」 カナは俺の質問には答えずに、楽しそうな口調で提案する。 『千秋ちゃんから修平に言ってくれないかな? 私たちはもう終わったのよって』 「修平が別れ話をしたのがお前のせいだってわかれば話は簡単だ。絶対に別れない!」 『千秋ちゃんも強情ね。女同士で話し合わなきゃいけない感じ?』 カナはどこか余裕そうに言ってくる。 でも、少しわかったことはカナは俺を女だと勘違いしたままだということ。 話し合いに来いか。 俺が黙っていると、『もし来なければ……』とカナが話を続けたとき、物音と呻き声のようなものが耳に入った。 そして……。 『ち、あき……絶対、来るな……』 そう修平の声がしてまた鈍い音と数人の笑い声が聞こえる。その鈍い音に思わず顔をしかめた。 修平は殴られているのか!? 「おまえ、修平に何してる!?」 『私に恥をかかせた罰。貴女も来ればわかるわよ』 それがお前が言ったお仕置きってやつか。 仮にも好きになったやつを痛めつけるなんて、最低な女だ。 こんな最低な女のところから、一刻も早く修平を助けださなくては。 俺の心は決まっていた。

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